魚種はマッコウクジラ。
向津具半島で唯一、日本海に面した川尻漁港。この漁港の最大の特徴は、捕鯨がおこなわれていたこと。その歴史は古く江戸時代、元禄11年(1699年)に始まり、明治42年(1910年)まで続けられたと記録書にあります。また捕獲されたのは、マッコウクジラでクジラの種類としては大型の部類に入ります。当時の技術ではおそらく川尻の漁師が総出で漁を行ったと思われます。またその姿は勇壮なものであったことも想像できます。下の写真は撮影時期が不明なため、いつ漁が行われたかわかりません。1910年には川尻にも、撮影技術は伝わっていたと思われますので、その当時のものかもしれません。いずれにしても、貴重な写真です。
捕鯨は小型漁船で行われた。
この絵図は捕鯨の様子を描いたものですが、一隻の小型漁船に6~7人が乗り込んでいるのがわかります。絵図全体には漁船が23隻描かれていることから総勢140人前後で捕鯨を行なったようです。
マッコウクジラの雄は40tもあった。
マッコウクジラの雄は全長18m、体重40tもあり当時の小型漁船では、捕獲に20隻以上が必要となることは容易に想像できますね。
次に捕鯨に使われた銛(もり)とマッコウクジラの歯の写真をお見せします。
鯨唄は今も歌い継がれている。
写真は鯨唄保存会の皆さんによる鯨唄の実演。勇壮な捕鯨の様を高らかに歌い上げています。川尻の歴史の象徴でもあります。ただこの写真は15年ほど前のもの。実演できる人の数は少なくなっています。
川尻の捕鯨の歴史は二百数十年続きました。その伝統を記録する文化は、末代まで受け継がれてほしいものです。