古狐は最果てに居り候

日本の山口県長門市油谷にある向津具産直市「ここや」です。向津具と書いて「むかつく」と読みます。この地は本州の西北端にあり、美しい自然と古代からの伝説が溢れる見どころ満載の場所です。「ここや」は地元の農産物や海産物を販売しながら、向津具の観光案内も行っています。

その歴史は長く、なんと900年!大浦の海女漁。

言い伝えによれば平安時代には存在していた

前回の記事では、海女漁は西暦1096年から本格的に取り組まれたように書きました。その後、文治元年(1185年)には壇の浦の合戦で入水された、安徳天皇のご遺体捜索を命ぜられて、活躍したとの言い伝えもあるようです。鎌倉時代はその後に成立しましたから当時は平安時代だったわけです。口伝えとは言え900年の長い歴史を持ち、現代まで継続している伝統技術は、地元民にとっては誇らしいものと言えます。江戸時代には藩主から特別の庇護を受けていたのも、うなずけますね。

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陸地が遠くに見えることから、かなりの沖合で漁をしていることがわかります。

漁港最盛期を物語る写真

この写真は昭和35年前後のものと思われます。対岸中央の建物が旧大浦漁協の事務所であることからわかります。手前にある小舟は明らかに木造船とわかりますし、他の漁船も木造船です。この当時の漁船のエンジンは焼玉エンジンと呼ばれるものでした。ポンポンと大きな音を立てて進むため、ポンポン船と呼ばれそのにぎやかさから漁港をさらに活気づかせていました。背景に見えるのは松林。この林が、あたりの景観を良くして、防風林の役目も担っていました。

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写真の実物は山口県漁協大浦支店にあります。今回は支店のご協力により、コピーを提供していただきました。

 次は現在の漁港の写真です。角度は違いますが、中央の林が古い写真に松並木があった場所です。今では全て枯れてしまいました。ただ街並みには昔と変わらず、まだ活気があることがわかります。先の写真と比べると、家屋も漁船も洗練されたものになっています。

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現在の漁港の家並み

 長い歴史を持つ大浦漁港です。50歳以下の漁業者も10名足らずですが漁業を専業にして頑張っています。この港には未来がありますし、歴史はさらに続いて行きます。