名優ジャック・ニコルソンが狂気の世界に堕ちた主人公を怪演。
今回は1980年製作のアメリカ映画「シャイニング」を取り上げました。
原作はスティーブン・キングの同名小説「シャイニング」。
監督はスタンリー・キューブリック。
この映画を見ていない若い世代でも、名優ジャック・ニコルソンのあの狂気に満ちた笑顔をご存知の方は多いと思います。この場面は狂気の世界に堕ちた主人公ジャック・トランス(役名)が、バスルームに逃げ込んだ妻のウェンディを殺害するため部屋のドアを斧で打ち壊して、その隙間から妻の様子をうかがうところです。
わずか数分間のこのシーンの撮影には、2週間もかかったそうで、ジャック・ニコルソンの名演(怪演)もあって映画史に残る名場面になったようです。
妻のウェンディ役のシェリー・デュバルの演技も迫真のものでしたね。それもそのはず、同じシーンの撮影に2週間もかかったのですから、彼女も次第に追いつめられて最後は憔悴しきっていたそうです。それがあの演技に結び付いたとは!
ここからは余談になりますが、原作者のスティーブン・キングはこの映画の出来具合に相当不満だったようです。のちに「思い違いだらけで腹立たしい、期待はずれの映画」と酷評しています。映画の公開から17年後に、自身がドラマ版のシャイニングを制作していることからも、その思いが伺えます。
なぜ不満だったのか?
それは原作と映画のストーリーがあまりにも違っていたから。興味のある方は、小説シャイニングの文庫本(文春文庫)が出版されていますのでそれを読んでから、映画をご覧になったら良いかと思います。
ただキングはこの映画の成功でベストセラー作家への道を進み始めたわけですから、そのことへの感謝の気持ちは持っていたようです。
スタンリー・キューブリックと言えば、あの名作映画「2001年宇宙の旅」が有名ですね。他にも「時計仕掛けのオレンジ」「フルメタルジャケット」などの名作を残しています。映画のテーマ、撮影手法、映像づくり、などいずれも後世に残るものを創り出しています。風貌からもわかるとおり、まさに鬼才ですね。
この映画より7年前には、「エクソシスト」が公開されています。ここからモダンホラー映画がブームになり、キング自身原作の「キャリー」「イット」「ペットセメタリー」などのヒット作が生まれているのは皆さんご存知の通りです。ですが、次回からは別ジャンルの映画についてご紹介いたします。