古狐は最果てに居り候

日本の山口県長門市油谷にある向津具産直市「ここや」です。向津具と書いて「むかつく」と読みます。この地は本州の西北端にあり、美しい自然と古代からの伝説が溢れる見どころ満載の場所です。「ここや」は地元の農産物や海産物を販売しながら、向津具の観光案内も行っています。

向津具半島の「大自然」の中で育つ黒毛和牛。

長門市油谷和牛生産組合とは?

長門市油谷(ゆや)地区の和牛生産者が組合員となっている組織です。肉牛としては、日本では代表的な品種「黒毛和牛」を飼育しています。まずは地図で油谷地区の位置をご確認ください(緑色でマークした地域)。油谷湾を取り囲むような地形、そして北に日本海があり、大自然に恵まれた土地。良質な黒毛和牛の産地として、全国的に知られています。

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地図は筆者作成のもの。

この写真は向津具半島の生産者の放牧場。5頭の親牛が牧草を喰んでいます。後ろに見えるのは油谷湾、いかにものどかな風景、そして自然に恵まれた環境であることがわかります。

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対岸は油谷伊上地区。ここにも和牛飼育農家があります。

和牛飼育は分業制。

黒毛和牛の生育期間は、28ヶ月から30ヶ月。約2年半をかけて育成したものが肉牛になります。この長い期間の労働力を軽減するため、繁殖農家と肥育農家が分担して飼育する、いわば分業体制が取られています。これをわかりやすく図式にしました。図のとおり、繁殖農家から肥育農家へ、飼育業務が市場を仲介して受け継がれるわけです。

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誕生から28ヶ月まで飼育する農家もわずかながらあり、一貫経営農家と呼ばれています。

生まれたての仔牛。

繁殖農家の牛舎で撮影しました。この仔牛の中で一番幼いのは、生後4週間ほど。人で言えばまだ赤ちゃん。体毛もまだ赤茶けた色をしています。でも仔牛は出産後30分から1時間で立ち上がり歩き始めます。すばらしい生命力を感じますね。

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どんな動物も幼い時は可愛いですね。

こちらは別の農家の仔牛。生後2ヶ月、耳標が付いています。耳標とは個体を識別するための標識。生後1ヶ月半で両耳に付けられます。人で言えばマイナンバーにあたるものです。

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先の仔牛とは顔立ちが違いますね。親が違えばというところでしょうか。

油谷生産組合の規模は?

油谷地区全域で34戸(うち向津具地区は25戸)。人口減少が続く長門市の中で、油谷だけでもこれだけの農家が和牛飼育に励んでいます。この中には20代~30代の後継者もいて、この地区の農業には充分に、未来があると思います。
繁殖牛数は全農家の総数です。

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資料は令和2年のもの 油谷和牛生産組合提供

この仔牛は生後6ヶ月。光沢のある黒毛は成長期の力強さを感じさせます。

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まさに黒光りする姿ですね。

こちらは親牛。堂々たる体躯をしています。

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これからも良質な仔牛を生んでほしいですね。

牛舎の中の写真です。清潔な環境が保たれています。この作業だけでも大変な労力を要しますが、この農家は15頭の親牛を飼育しています。

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夕食が待ち遠しい?ような表情をしています。

こちらは牧草地の写真。後ろに見えるのは日本海で、川尻岬はこの畑のすぐそばにあります。良質の牧草が育つ環境になっています。

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奥の畑は牧草を刈り取った後のようです。

今回は和牛飼育の概略を紹介しました。和牛飼育には他にも多くの規約があり、きめ細かい作業も必要な仕事です。また折に触れてご紹介します。