古狐は最果てに居り候

日本の山口県長門市油谷にある向津具産直市「ここや」です。向津具と書いて「むかつく」と読みます。この地は本州の西北端にあり、美しい自然と古代からの伝説が溢れる見どころ満載の場所です。「ここや」は地元の農産物や海産物を販売しながら、向津具の観光案内も行っています。

向津具半島、平家伝説。続報です。

向津具半島の西の端、油谷島には数多くの五輪塔が。

8月18日平家伝説の記事をお届けしましたが、今回は続編として油谷島地区の五輪塔の調査の成果を投稿します。
まずは前回の記事をご覧ください。

cocoyatourism.hatenablog.com

今回は、油谷島地区で3ヶ所の、平家一族の墓と思われる五輪塔を確認しました。いずれも大社神社の周辺にありましたので、この神社を起点にしてご紹介します。
長門市歴史民俗資料館の資料によれば、他にも数か所の遺跡があるようですが、ほとんどが藪の中にあり調査が困難な状態にあります。
調査できた3ヶ所も、藪刈りや草取りをしなければならない状態でした。

油谷島地区の遠景です。3ヶ所とも、太陽が海面に映っている付近に集中して設置されています。

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油谷島全域の写真。平地はほとんどない地域です。

最初の写真は、「平貞国(たいらのさだくに)及び一族の墓」と伝えられる五輪塔です。3ヶ所のうちでは、一番保存状態が良く直ぐに確認できました。大社神社から西に100mほどの距離にある、ため池のそばにありました。

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五輪塔の形に特徴があります。

2ヶ所目は「平知国(たいらのともくに)の墓」と伝えられるものです。形状が他の五輪塔と違って多段になっているのが、特徴的です。大社神社から東へ180mの山手にありましたが、ここは周りを竹やぶにかこまれていました。

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この五輪塔は、山中の傾斜地にありました。

3ヶ所目は「平楫取(たいらのかとり)一統の墓と伝えられる、五輪塔です。大社神社からは500m東の海岸よりにありました。この墓は上部まで竹やぶに覆われており、草刈り機を使って藪刈りをしなければなりませんでした。

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一族の墓らしく、五輪塔はいくつか確認しましたが、崩れ落ちたものもありました。

この写真は、平貞国墓所の近くからの、油谷湾の眺めです。3ヶ所の墓地がすべて、油谷島の南東部にあることが印象的でした。日当たりが良く、おだやかな海に面した地域が、一番生活に適しているはず。一族はこの土地で肩を寄せ合うように、ひっそりと生活していたと思われます。

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眼下に棚田の重なる、眺めのいい場所です。

今回調査した五輪塔は、いずれも800年の歴史を持つ、貴重な遺産です。少しでも保存状態を良くして、後世に伝えていきたいものです。