同じ油谷町内に隣り合わせの、ふたつの日吉神社
ふたつの日吉神社の所在地は?
ふたつの神社が、同じ町内にあると言っても、市町村合併の前の油谷(ゆや)町でのことです。
現在の所在地名は①長門市油谷向津具(ゆやむかつく)と、②油谷角山(ゆやかどやま)【向津具半島の東隣】となっています。位置は地図の通りです。
(https://maps.gsi.go.jp/development/ichiran.html)
まず川尻の日吉神社について
一番目の日吉神社は、川尻漁港の背後の山中にあります。氏子の多くが川尻の漁業者であるだけに、捕鯨で栄えた頃の繫栄が偲ばれる、立派な作りになっています。もちろん農業者の氏子も多数います。創建の年代はよくわかりませんが、明治2年(1890年)に日吉神社と改称された記録が残っています。
石灯籠にも捕鯨が盛んだった頃の面影が
神社参道入口付近に、整然と並ぶ石灯籠。こちらの造りも立派なものです。それぞれに刻印されている、寄進者の名前を見ると、傳右衛門、庄左衛門、源治右衛門、などと読めます。江戸時代の川尻漁港の繫栄の名残りを感じさせられます。
続いて、角山の日吉神社の特徴は?
社殿そのものはこじんまりとしたもので、地域住民が神社の維持管理をしています。他地域の神社と比べても、目を引くものはありません。こちらも創建の年代は不明ですが、元治元年(1864年)に日吉神社と改称されています。この神社の特徴は、鎮守の森が、山口県指定の天然記念物「オガタマノキ巨樹群」で形成されていることです。
オガタマノキとは?
オガタマノキとはモクレン科の常緑高木で、日本特産です。日本海側での自生は、この神社のものが北限でその意味からも、貴重な存在と言えます。
オガタマノキについて
現在16本の巨樹が、枝葉を生い茂らせて鎮守の森を形成しています。最大のものは根回り5.8m、高さ17mもあります。そのたたずまいは厳かで、大きな神社に引けを取るものではありません。
向津具半島とその近隣には、他にも多くの神社があります。その存在は、地域住民の信仰心の篤さをよく表しているものと言えます。